キャリアウーマン風を吹かせたうら若きレディに目を奪われた。
彼女は横須賀線に並ぶ私の横を通り過ぎ、湘南新宿ラインの列車に足を踏み入れようとしていた。
さぞかしフローラルな香りが私の鼻先をくすぐる事だろうと期待に鼻を膨らませていた。
しかし、鼻孔をつんざいたのは残暑の芳香
汗くさい。
という表現の方がわかりやすいだろうか。
スッキリとして微かに産毛のなびくうなじの下、
陽射しを反射する白いブラウスは
汗ばんで濡れていた。
透けたブラの線を、これ幸いと注視する中年オヤジの肩越しから注がれる目差しは私の好奇のそれ。
せっかくの美人が台無しだ、と。
求む、後ろ姿美人。
横須賀線。
弱冷房が汗ばんだ背中を冷やす。
私の背中はシトラスクールなデオドラントで爽快な香り。
である事を祈る。