紅いアクマと私12

 2007-08-23投稿
閲覧数[201] 良い投票[0] 悪い投票[0]


いきなりアルが起きて、なんともいえない声をあげてしまった。


アルは自分の手をぼんやり見ている。
綺麗な手だと思った。すらりと細くて長い。私の学校の奴らに見せてやりたいわ・・・

私の手への熱い視線に気付いたのか、アルが顔をあげる。

「俺の手に何か?」
「綺麗」

・・・・妙な答え方をしてしまった。
慌てて付け加える。

「細くて綺麗だなーって思っただけよ。別にそれだけであって特に深い意味なんかないのよ?ただ口をついて出ただけなんだから」
いっきに喋る。
まるでこれ・・・

巷で有名な――ツンデレみたいじゃない。
余計恥ずかしくなった。

「綺麗か?」
アルは少し眉間にしわを寄せていた。

「この手を綺麗だと思うのか?」
「うん」

なんだか気まずくなった。空気が重い。

沈黙が嫌で私は口を開く。

「シャーナって誰?」

ちょっと気になってた名前。
寝言に出るくらい。
恋人かな?悪魔・・・じゃなくて天使にも恋人とかいるのかしら。

「なんで・・・知ってる?」
アルが真っ直ぐ、私を見る。

「さっき寝てた時・・・言ってたから。恋人だったの?」

「違う」
即答だった。ちょっとがっかりした。
「じゃあ何ー?それにもしかして好きだったんじゃないの?」

アルが少し、固まった。

「図星?」

返事はない。

「ねえ」

返事はない。

「ねえってば」

「 だ ま れ 」


怒鳴られた。
同時にイラッとする。

「怒鳴らなくてもいいじゃないのよ!」

「貴様に何がわかる!!?」
肩をつかまれ、壁に押し付けられた。

「お前なんかに・・・わかってたまるか」

間近で見るアルの顔は、悲しみが溢れてた。

その顔を見ると、なぜか私は悲しくなった。気付くと、涙が一筋。顔を伝った。

「・・・ごめん」

アルが私を開放する。けれど、私はその後しばらく、声を殺して泣いていた。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 星 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
〇beauty hand〇
海外セレブに人気


▲ページトップ