「これが、先日撮った彼女の図式です。」
ソファーに座り、武藤はこっそり魔術で温めた麦茶を啜った。
飴色の木製テーブルの上に置かれた写真数枚。ゆっくりと武藤は眉を寄せて、それから何か重大なことに気付いたように、勢い良く写真に齧りついた。
「これ」
「はい、確かにただの術式でした。ほんの二、三日前まで。…それがある日、起きたらこうなっていたそうで…。」
写真の少女ー夏目ーの背中には、大輪の芍薬の花が、何輪も何輪も、無数に咲き誇っていた。
武藤は愕然とした。脳裏にはあることが、浮かんでいた。全身から血の気が引くような、そんな感じがした「まさか…!?ありえないよこんなの!!こんなの、彩は望まない…!!」
「先輩?」
「古賀くん…、きみは一体何がしたいんだよ…!彩はもう、いないんだよ!!」