雨は嫌いだ―。
あ〜……、てか湿気が嫌い。
俺、くせっ毛だから。
湿気があると、俺の言うことを聞かないんだ、こいつは。
だから湿気は嫌い。
でも、雨は好きかも。
なんか、この雰囲気がいい。
何となくこの気持ちわかるかなぁ?
多分共感する人はいると思う。
で、今日も雨模様の空を教室の窓から見上げる。
ちょっちセンチメンタル。
この感覚、好き。
ちょっと、自分に溺れてんのかも。
「なぁに黄昏れてんだ、少年。」
そんなしんみりモードを打ち破る、ノー天気な声。
「別に、黄昏れてるつもりはないんですけど。」
俺はくるりと空に背を向けて、窓によりかかる。
となりに来た女の子も、同じ姿勢をとる。
この娘を物に例えるなら、マメ。
ぽいから。
だって身長は俺の肩ぐらいしかない。
「ねぇ、いつもここから何見てるの?」
マメが言う。
「ただ外を眺めてるだけだよ?」
俺が答える。
その答えを聞いて、マメが膨れる。
「それを黄昏れるって言うの。」
「じゃぁ、そういうことでいいよ。」
またマメが膨れる。
こんなマメが見たくて、俺はマメを俺のペースに巻き込むんだ。