パンドラ

胡麻  2006-03-11投稿
閲覧数[336] 良い投票[0] 悪い投票[0]

昔から、人々は「あの世」に強く想いを寄せていました。
プロローグ
死にたかった。
どうしようもなく。

「由利。学校行きなさい・・・。」

いつものように、母が階下から声をかける。私もいつものように、シカトを決め込む。
そうすれば、諦めるから。
人間なんて簡単だ。

カッターを机の中から取り出す。
そして、キリキリと刃を出し、手首に切り込む。
深紅の血が日の光を浴びていない、白い肌へと流れる。
美しい、と思った。
何よりも。
顔には微笑みすら浮かべていた。
死ぬ事はない。
加減は分かっている。だから、死ぬ事はない。
「開けるわよ、由利」「!!?」
予想外の出来事。
思わず、深く入ってしまった。

「由利、由利??・・・いやぁぁぁあああ・・・・・」

何?
何が起こったの?



1.
真っ白な空間。
何もない。

「?」

と、門が現れる。
一人の男と共に。

「ようこそ。」
開かれた口からは、低く、それでいて柔らかい声が出た。

「何、これ」

「君は死んだ。」

唐突に言われ、暫く頭が回らなかった。
死んだ?
私が。
へぇ・・・。
「哀しみはないんだな。ならば、その『罪』を悔い改めよ。」

男の言葉と共に、門が開かれた。

私は誰に言われた訳でもなく、門の中へと足を踏み入れた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 胡麻 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ