ジュリアの目から雫が零れる。
この俺を
哀れんでいるのか?
だとしたら
俺はなんて滑稽な生き物なんだろう
随分時間が経った。
静かな室内に響くのは、小さな啜り泣きのみ。
「俺はシャーナが好きだった」
突如、沈黙を破る声。ジュリアはハッとしたように俯いていた顔を上げた。
「俺は子供だった。だから、助けられなかった」
空間に投げる言葉。
「悪魔の領域に入らなきゃよかったんだ」
紡がれる言葉。
「あいつらを殺ったってどうにもならないって知ってた」
頬を伝う雫。
「それでも、止まらなかった」
雫は静かに床に落ちた。
「こんなに苦しいのなら、いっそこの身が朽ちればいいのにな」
「無、になれたら、どんなに楽だろうな」
ふっと自嘲気味に笑い、アルは涙を拭った。
「ごめん、外行ってくる」
そう言うと、アルは窓から外へ出て行った。
部屋には、ジュリアだけが残された。