紅いアクマと私13

 2007-08-25投稿
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ジュリアの目から雫が零れる。


この俺を

哀れんでいるのか?

だとしたら
俺はなんて滑稽な生き物なんだろう






随分時間が経った。
静かな室内に響くのは、小さな啜り泣きのみ。


「俺はシャーナが好きだった」

突如、沈黙を破る声。ジュリアはハッとしたように俯いていた顔を上げた。

「俺は子供だった。だから、助けられなかった」
空間に投げる言葉。

「悪魔の領域に入らなきゃよかったんだ」
紡がれる言葉。

「あいつらを殺ったってどうにもならないって知ってた」
頬を伝う雫。

「それでも、止まらなかった」
雫は静かに床に落ちた。

「こんなに苦しいのなら、いっそこの身が朽ちればいいのにな」

「無、になれたら、どんなに楽だろうな」

ふっと自嘲気味に笑い、アルは涙を拭った。

「ごめん、外行ってくる」
そう言うと、アルは窓から外へ出て行った。

部屋には、ジュリアだけが残された。



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