ヤス#139
「うん…たぶん。やっちゃん。私じゃ、やっちゃんの孤独を埋められない?」
「ハハハ。今は孤独じゃないよ。ちょっと聞いただけさ。ゴメンよ。気を使わせたみたいだね」
「やっちゃん。好きなの…やっちゃんの事が大好きなの」
「ハハハ。恭子もそう言ってた」
「うん…二人で好きなのよ」
「一人占めにしたいとは思わないのか?」
「したいよ。私だけ見て欲しいと思うよ。でも、恭子とは親友だし、やっちゃんも恭子も失いたく無いの…大好きなの、やっちゃん」
首筋に暖かいものが落ちてきた。泣いているだろう。ヤスは何も言わす、香織をおんぶして歩いた。
向こうから三人組の男達が歩いてくる。ヤスはとっさに香織をおろすと、砂を掴んでズボンのポケットに入れた。恭子が冷やかされている。そして、ヤスのもとに逃げてきた。
「やっちゃん、帰ろう!」
「慌てなくてもいいよ」「だって、あの人達、ガラが悪そうだもの。早く引き返そうよ」
「そうだな。そうするか」
ヤス達はきびすを返した。それを見た三人組が追って来た。
「おいおい、逃げるのかよ」
ヤスか振り返る。声をかけたのは中央にいる小柄な男のようだ。