ヤス#140
右に痩せて背の高い坊主頭。そして、左には体格の良い茶髪。こいつがリーダーだろう。ヤスはやれやれと思った。以前、中洲でヤクザに絡まれた事がある。ひょっとして、こいつらも魔物か…?ヤスは体中の筋肉を緊張させた。
「別に逃げている訳じゃないけどね」
恭子と香織は抱き合って震えていた。
「はん!女の前だからって、カッコつけるんじゃねぇよ。痛い目を見るぞ」
「可愛い女二人連れて3Pでもやるのか?ハハハ」
「良く分かるね。この後、ホテルでセックスする予定なんだ。邪魔しないでくれるか?」
「な、なにーっ!ふざけた事をっ!」
ヤスはポケットに手を突っ込んだまま、悠然としていた。体のでかい男がニヤついていた。タンカを切った男が興奮した顔でヤスの正面に立った。
ヤスはポケットから拳を出すと、目の前の男の顔面に向けて砂を叩きつけた。
「うぎゃあーっ!目がっ!目が見えないよーっ!痛い!助けてくれ!」
「早く病院に連れて行かないと失明するよ」
「ふざけるな!よくもゲンの目を!」
「嘘じゃないさ。ショウセキが入っている。違いなく失明だよ」
「な、何だよ…そのショウセキって」