朝、慌ただしく学校へ行く準備をする。
目元を黒く囲ったメイク。
緩く巻いた、黒染めの落ちた赤い髪。
短く裾上げされたスカートに、紺のハイソックス。
革鞄を肩にかけると、ローファーを履いて家を出る。
―片道一時間と、ちょっと。
電車の中で流行りの音楽を聴きながら携帯を開く。
―新着メール:6件
あ、昨日のか。
一通、一通、大まかに中身を確認し、「安田 章大」のナリにメールを送る。
電車のアナウンスが乗り換えの駅名を知らせ、パタンと携帯を閉じた。