十メートルほど離れた電信柱…その近くに梓の姿を見た。
(何やってんのよ〜!)
私はそう思いつつも三浦さんの腕に掴まり早足になった。
「松…本さん?」
三浦さんは少しビックリしたような顔で私を覗き込む。
頑なに後ろを振り向かない私を見て気になったのだろう、何度か背後を確認している様子だった。
家に付いて周りを見渡す。(もー、何なのよアイツ…)
「はぁ…」
「松本さん?さっきの…もしかして」
私は頷く。
三浦さんは一瞬目を細めるとまたいつものように微笑んだ。
「彼、未練があるみたいだね」
「や…多分、今日電話あったの無視したからですよ…」
口ではそう言いながらも、ドキドキしてる。
(もしかして、ホントに未練が…?だからって…)
「ここが、松本さんのマンションかぁ〜」
三浦さんが両手を広げる。
「さっきの彼と、僕ぐらいかな?知ってるの(笑)」
「え?えぇ…そうですね。あんまり人には教えてないです」
「そう♪じゃ、特別だね」
(あ、何か嬉しそう)
彼の笑顔を見てちょっと期待しちゃった。
もしかして…。
お礼を言って部屋にあがった私の顔は相当やけてた。
「特別だね…って…ふふふっ♪」
…〜♪