処刑生徒会長第二話・10

まっかつ  2007-08-26投稿
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九重モエは、雑誌を読む振りをしたまま片手で携帯を取りだし、メールを打ち始めた。

1分後、とある男子生徒の携帯が震え出す。

彼女の真後ろに横向きに並ぶ本棚から、制服姿の男が1人、やはり立ち読みの振りをしつつ、九重モエやその周りをちらちらとのぞき続けていた。

ストーカーではない。

忠実なボディガードだ。

その彼が素早く自分の携帯を開くと―\r

【霧島。今タクシーに乗り込んだ三人を見た?】

霧島はすぐさま返信を出した。

【彼等をご存知で?】

更に1分後―\r

【あれはこのZ区で最悪と言われたイジメグループよ。直接関わりはないけど、かなり有名なやつらでね―良く覚えているから間違いないわ】

霧島は事務的な表情のままそれを読み―\r

【我が校の生徒ですか?】

九重モエは前を向いたまま、更に携帯のキーを打つ。

【第三中学の卒業生よ。確かあそこは今日学園祭があるから、多分それね。悪いことがなければ良いけど…】

【第三中学ならば、梅城会長がいらっしゃいますから、心配ないと思いますが?】

確かに梅城ケンヤは名君だ。

悪い連中に好き勝手させる様な事は断固として許さないだろう―\r

―だが、

【私もそう思うけど…彼等は今、高校生だし、軽く10人は自殺させた連中よ?そんじょそこらの悪党なんかとは違うわ】

【では第三中学生徒会に通報しますか?】

霧島の提案は的確だったが、今度は中々返信が来なかった。

不思議に思って彼が会長をのぞくと、巨大なリボンを載せた頭は、確かに悩んでいる様子だった。

そして―\r

【霧島。本校に連絡して。風紀委員会に出動待機命令を。それから私達はここを出て彼等を追います】

霧島は躊躇いを示した。

【それでは第三中学生徒会の面子を潰しますよ。他校への干渉は後々面倒な事態になりかねません】

だが―\r

【これは第三中学だけの問題じゃないわ。少なくともこのZ区全体に及ぶ深刻な影響を与える可能性があると考えます―今回ばかりは梅城会長でも手に負えないかも知れません。彼には私から連絡を入れ、注意を喚起します―とにかく出ましょう】

そして程なく二人は書店を出て、一条フサエ等を追うべくタクシー乗り場に走り始めた。

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