1、別れ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「何でよっ!
私は絶対、絶対この町から離れないからっ!!!」
「唯、仕方ないでしょ。お母さんだって離れたくないけどねぇ、お父さんの仕事の都合が…」
「分かってるって!!でも嫌なの!!!!」
「わがまま言わないの!!」
「だって……。」
「だってお母さん、この町には思い出がいっぱいあるんだよ。それを今更…」
私だって、ここで引く訳には行かない。
「分かってるわ。でも、東京も良い所よ。今度はそこで思い出を作ればいいじゃない。」
もぅ、お母さんはちっとも分かってない。
「ねぇ…。唯、お願い。今回だけはお母さんの言う事を聞いて。東京はこことは違うけど、すごく楽しい所よ。だから…ね?」
お母さんのこういう声には、私も動揺しちゃう。
でも、でもこれだけは引くわけにいかない。
「お母さん、私、わがままな事言ってるのは自分でも分かるよ。でも嫌なの。どうしてもって言うならお母さんだけ行けばいいじゃん!」
「唯!!!
何度言えば分かるの!」
「嫌ょ!!!」
思わず涙がでてきた。その姿をお母さんに見られたくなくて、私は家を飛び出した。
お母さんは、何にも分かっちゃいない。
私の気持ちを無視してる
いつもの公園に行った。
ずっと泣いてた。
涙が止まらなかった。
……。
お母さんは、私の事どう思ってるだろう。
わがままで、手のつけられない子だと思ってるだろうか。
なんだか、急に自分が惨めになった。
お母さんに、心配ばっかさして…。
それでも。
この村は離れたくない。
嫌だ。
心配かけてるのは分かるけど……。
それじゃ、もう友達に会えなくなる。
康介にも…。
康介とは、幼稚園からの幼なじみだ。いつも喧嘩ばっかしてるけど、正直……私は康介の事が好きだ。
「こんなとこで、何やってんだよ。」