あたしは部屋を抜け出すと、福城としーちゃんが泊まっている部屋に行った。
トントン。
「はーい。
聖夜、おかえりー。」
ガチャ。
「えっ・・・。
奏ちゃん、どうしたの?」
「あの、話あるんだけど。いいかな?」
「明日とかじゃあ、ダメかな?
もう、夜中だしさ・・・。」
「今じゃあないと、ダメなんだけど。」
「わかった。
部屋に入って。」
しーちゃんはあたしを、しぶしぶ部屋に入れてくれた。
あたしは部屋に入るなり、話し始めた。
「しーちゃん。
さっちと真紀が、ケンカしてるの知ってた?」
「うん・・・。
真紀ちゃんから、聞いてたしね。」
「知らなかったのって、あたしだけなんだ。
福城は、どこにいるの?」
「山田さんと俊也さんの部屋に、行ってるよ。
奏ちゃんに、話しておきたいことがあるんだ。」
「何?」
「さっちは奏ちゃんを山田さんに近づけて、真紀ちゃんに山田さんの事しか考えられなくしようとしてるんだ。
結衣さんの事を知ったさっちは、山田さんの台本にキスする指示を書き込んだ。
そして、奏ちゃんが自然に山田さんに惹かれるように仕向けた。」
「そんなこと、さっちがするわけないでしょ。
いくらしーちゃんでも、そんなこと言うと許さないから。」
しーちゃんはあたしに、台本を手渡してきた。
その台本には、さっちの字で優しいくキスをすると書いてあった。
「僕は奏ちゃん傷つける、嘘なんかつきたくないよ。」
しーちゃんはそういうと、あたしを抱き寄せた。
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