「でもまさか雨が降るなんてなぁ……。」
マメが外を眺める。
シトシトって言葉が似合う雨に、止む気配はない。
「天気予報、見てこなかったの?」
俺も外を眺める。
「うん。だから傘も持ってきてないんだぁ。」
「それは御愁傷様。」
マメがこっちを見る。
そのクリッとした目に、少しドキっとする。
「少年は、傘もってきた?」
「持ってきてたら?」
俺は少し恥ずかしくなって、目線を外した。
それでもマメは目線を合わせようとして、俺の前にやってくる。
「相合い傘、しよ。」
「ばーか。」
俺は一寸も間を空けず、答えた。
今度は目線が合わないように、体を窓の外に向けて。
「いいじゃん、方向同じだし、ね?」
マメがとなりでピョコピョコする。
「そういう問題じゃない。」
俺はドキマギしながら答えた。
男にとって、相合い傘とか恥ずかしくて、普通は出来るもんじゃない。
それをマメは……。
「あ、わかった。恥ずかしいんだ。」
その言葉にドキッとする。
「少年、純情だねぇ〜。」
マメが可笑しそうに笑う。
「ばっ、んなんじゃ!」
必死に言い訳する俺を、マメは楽しそうに笑う。
その笑顔が、愛らしい。