「なんでー!まじかよっ寝過ごしたああ!!」
朝6時45分を指す時計を叩きながら叫んだ。目覚ましアラームが鳴らなかったことを憎む。いやとっくに鳴ってた気も…。
とにかく!急ごう!まだ間に合うかもだし。
小田急線成城学園前駅7時03分発急行。
これに乗るために私は夜遊びびをやめた。
私は16才。
普通だったら高校一年生。訳あって高校には行ってない。
そんな私が最近毎日高校の制服を着て出かける。あの電車に乗るために。
ただ、それだけのために…。
駅ホーム新宿方向から2両目に彼が乗る。周りよりも頭一つ抜きでてて楽に吊革をつかむあいつが。体格がいいのに髪が女の子みたいに細くさらさらしてて、時々その栗色の髪で顔が隠れるあいつが。目が大きく鼻が高い、いかにももてそうな、あいつが。
でもいつも悲しい目をしてるように見えるあいつが…。
私は男があまり好きじゃなかったんだ。あいつにあうまでは…