カキーン
アウト
ゲームセット
うぅー…。
三年生達の夏が終わった…。そして、その瞬間、俺たちの夏が始まった。
ベンチ裏で監督が先輩達に最後の言葉を語りだした。
『今年は、例年になく強く、俺も少しは期待をしたが、やはり、甲子園は遠かったなぁ。でも、お前達は立派だ。胸を張れ、ここまでやれたのも、お前達の日頃の努力のたまものだ。』
目を真っ赤にしてる人。泥だらけの顔に涙のあとがある人。いろんな思いの先輩達は監督の話を聞いていた。
『よし。最後に三木、お前から一言。』キャプテンだ。すごく優しく、みんなから慕われている。
『俺たちは今日で引退をする。お前達は今年以上の成績を来年残してくれ。』
と言った後、深々と頭を下げた。
『それから、前々から監督とも話してたのだけど、……川合。お前が新キャプテンだ。頼んだぞ。』『あっ!?は、はい。』
川合(センター)。俺たちの学年で、一年からレギュラーをはり、先輩からも後輩も、もちろん、俺たちも信頼をよせてる奴だ。適材だ