午後11時
「今日は色んなことがあったな…」
荷物を旅行鞄にまとめ終えた俺は、万年床の布団に寝転がっていた。
明日からあの住み込みで執事紛いのことをしなければならない。
あまりの利益還元率に頷いてしまった…。
まあ仕方ないか。
今時の人間は金と貧乏には弱いのだ。
それに、あの顔で言われちゃ逆らえない。
妹の顔。生きていて成長すればあんな顔になったんだろうな。
今頃どこで何をしてるのか…―――\n
「!!!」
何を考えてるんだ?妹は死んだろ?俺の大切な妹は死んだはずだ。俺が、俺の…せいで…。
「……!」
思い出すな。
考えてはいけない。
頭の中で何かが警告する。
「………………だからどうした」
口元に笑みが浮かぶ。
そうだ、これで良い。
考えてもどうにもならないんだ。
なら忘れればいい。
前の自分なんて忘れてしまえばいい。