6回裏の攻撃が始まった。
俺はゆっくりと左打席に立った。
マウンドには5回まで要所を締め、無失点の南。
俺はしっかりバット握った。
初球。
カキッ…
しまった…
ストレート狙いで振り切った打球はスライダーに詰まらされた。
一塁線上に力のないゴロが転がる…
………。
『ファール!』
わずかにスピンがかかった打球はラインから右に切れた。
一塁手、中西がボールを拾ったのはラインから切れてだった。
助かった…
と俺は心の中で思った。
ともかくこれで1ナッシング。
二球目。
!!
ストレート!!
来た!!
アウトローに来たストレートをしっかり流し打った!
カキーン!!
抜けた!!
と思いつつ俺は走った。
しかし、三遊間に抜けそうな打球を遊撃手、伊野波が飛び込んで捕った。
しかし、ダイレクトキャッチではなくショートバウンドでのキャッチだったので、俺は1塁ヘ無我夢中で走った。
伊野波が起き上がり1塁へ投げる。
俺はベースが見えた瞬間、ヘッドスライディングで滑り込んだ。
アウト?
セーフ?
どっちだ?
『セーフ!!』
一塁塁審が大きく手を広げたのが見えた。
内野安打!!
やった!!
6回にもう一度俺がチャンスメイクした。
前の打席バントでのミスがある為、次はミスのないように俺はベンチのサインを見た。
………?
『バスターエンドラン』
曾我端さんはこの回に勝負をかけるようだった。
1番のアキもサイン見て納得したようだった。
無死1塁。
遊撃手の伊野波と二塁手の本多がセカンドベース寄りに守備位置を変えた。
南がセットに変わる。
南の左足が交差した瞬間、俺はスタートを切った。
『走った!!』
朝山中の内野陣が声をかける!!
カキーン!!
アキは初球を叩いた!!
打球の行方は………?