僕は自分の耳を疑った。
こいつは普段クラスで彼女とも話してて仲が良かったはずだ。
「なんで…そんな事を?」
「何でて…むかつくから。」
奴はアッサリとそう言った。
「それにあんたも馬鹿だねぇー
〇〇はあんたの事を多分喋る人形とでもと思ってるんじゃない?」
「だよねー普段いじめられてる奴に良い感情なんて持つ訳が無いし。」
何を言ってるんだこいつらは
「しょうがないよ外人には日本人の気持ちなんか分からないんだから…」
僕は…喋る人形? 外人?
「言っておくけどあたしが〇〇の筆箱をパクった事をチクったら悪い噂流すよ。」
これじゃあいつもと同じ…
「まぁチクらなくても流すけど。そして〇〇はあんたの噂を聞いて愉快に爆笑するのことでしょーめでたしめでたし…」
いじめられる僕を見て笑う?
彼女が?
「あんたは誰からも必要とされてない。
ただの外人面のクズ。」
僕は
誰からも
必要とされてない?
そうか…
俺は独りぼっちなんだ…
皆俺を見下して、軽蔑してるんだ。
皆敵なんだな…
だったら皆…みんな消えちゃえ…
俺は傘を折り畳み、傘の先端部分で奴の左目をつついた。
奴は左目を押さえてうずくまっている。
俺はうずくまる奴の頭に何度も傘を振り降ろす。
何度も…
何度も…
しばらくすると俺は異変に気が付いた教員に止められた。
「放せ!!殺してやる!!皆殺してやる!!」
「落ち着け!!大人しくしろ!!」
そして騒ぎを聞き付けたのか彼女が帰って来た。
「八幡くん…どうして…?」
軽蔑のまなざし。俺を化け物とでも思っているのだろうか?
結局…俺は一人か…
誰も助けてくれない…
皆…敵だ…
俺は彼女を睨み付ける。
「八幡くん?」
「呼ぶな…」
俺の名前を気安く呼ぶな。
「なんでよ…
こんな事するなんて…」
「死ね」
「え!?」
「お前も皆と同じだぁ!!
皆な死んじまえぇぇ!!」
これは…4年前の灰色の記憶だった。