「増田。」
また生徒が立上がり教卓に駆け寄り白い紙を渡される。
「もっと勉強しろ。」
「………」
増田は死んだ魚の様な顔で席に戻る。ありゃ赤点取ったな。
「村上。」
また一人立上がりそして…
担任は哀れむ様な目で村上を見て紙を渡し、こう呟いた。
「これが現実だ…」
「……はい……」
村上が俺の席の側を通り掛かった時、村上は小声で
「これは夢だ…これは夢だ…本当は100点なんだ…幻覚だ…神様ぁー」
と呟いて現実逃避していた。
哀れだ…
そして
「八幡。」
俺の名前が呼ばれる。
俺は立上がり教卓へと移動する。
「チッ」
日本史&保健のエロ担任は俺を見て舌打ちして何も言わずにテストを渡した。
やはり…
計算通り…
俺は席へと戻る。
俺が席に着くと前の席にいる美形がテストを覗き込んだ。
「相変わらず日本史得意だなー
見た目によらず。」
「まぁな…ていうか見た目によらずは余計だ。本当の事だけど。」
紹介が遅れたが俺は八幡洋司。
日本史が得意だとは思え無い様な顔をしている…
色白の肌、茶髪の髪、グレーの瞳。
見ての通り俺はハーフだ。
ちなみに苦手な教科は英語だ。
あんな呪文みたいな文字分かる訳が無い。
そして目の前にいる美形野郎は中学からの友人である吉本庄司。
絶対に名前と顔が一致して無い。
「これで中間テストも終わりかー清々するぜ。」
庄司はそう言うとボケーッと欠伸を漏らした。
こいつも徹夜で勉強して疲れているのだろう。
「昨日エロビデオ見たから眠ぃ〜」
こいつ殺してやろうか。
「それでは中間テストが終わったためマニフェストの通り席替えを行う!」
テストに関する仕事が終わってテンションが上がり何故か政治家気分になっているバカ担任が第一回席替えを宣告した。
俺達は出席番号順にクジを引いてそれぞれの席へと移動した。
*
「またお前が前か。」
「またお前が後ろか。よろしくー」
俺と庄司はまた前後ろで隣り同士になった。
そして俺の隣りは…
「空席?」
なんですかこれは?
新手のイジメ?
俺の疑問は次の担任の一言で消える事となった。
「明日転入生がくるぞ。」