「由美、卒業おめでとう」
「3年間ごくろうさま」
パパとママに、改まった感じでお祝いの言葉をいただいて、アタシは少し照れていた。
「え、いやぁ、何だか照れちゃうな… あの… アタシから重大発表があるんだけど、いいかなぁ?」
アタシの言葉に両親は顔を見合わせ、一体何を言いだすのか興味津々といった様子で尋ねてきた。
「何よ、その重大発表とかいうのは?」
「え〜っと、あの……」
アタシは意を決して言い切った。
「じ、実は婚約した人がいるのっ!」
精一杯の勇気を振り絞り、自分でもわかる程真っ赤になりながら言ったにも関わらず、両親の反応は拍子抜けする位フツーだった。
あれれ?本気にしてないのかな?……
「ど、どうして驚かないの? これ、冗談じゃ…」
アタシの言葉を遮る様にママが言いだした。
「お向かいの朝倉さんがね、由美ちゃんが卒業したら僕に下さいって何度か挨拶にいらしたのよ、ふふ」
「ちょ、ちょっと、エエエエーッ!!」
予想もしていなかった言葉に、アタシは馬鹿みたいに動転してしまった。
「それで、私たちからもあなたにお話する事があるのよ。 いい?驚かないで聞いてちょうだいね」
パパと目で頷き合ったママが話し始めた内容に、アタシはひっくり返る程に驚いて、言葉を失っていた。