村上シンジは泣き叫びながら、床をころげ回る。
辺りには凄まじい焦げた臭気が漂い、周囲の風紀委員達はみな鼻を押さえ顔を背けた。
焼き払われたなんて物じゃない。
村上シンジの片足は、一瞬で蒸発していたのだ!
『ひぃぃぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ俺の…俺の足がぁぁぁぁぁぁ』
感覚のなくなった空間に両手をかざしながら、村上シンジは完全に気が狂っていた。
梅城ケンヤの片手には、米軍から仕入れたマイクロウェーブ収束銃(熱線銃)が握られていた。
生身の肉体なら一撃で破裂さしてしまう位の強力な武器だ。
そして―\r
『問答無用―と言う言葉をご存じかな?』
勝ち誇って彼はそう言い放ったのだ。
―だが
『ふふっ、あっはっは、あっはっはっはっは…こんなのが貴方の復讐なの!?』
一条フサエは動じるどころか逆に高笑いで応じた。
『まあこんなクズども、始末するなら煮るなり焼くなりしても構わないけどねえ―』
『お前!裏切るのか!?』
鼻血を流しながら、桂シュンスケはなじったが、
『裏切る?最初から友達とも仲間とも思ってないわよ、あんた達なんか。ただ利用しただけ、そして賞味期限が切れたからゴミ箱に棄てるだけよ。残念だったわねえ』
一条フサエは遂に本性を現した!
『ねえ会長さん―貴方は賢いし勇気もあるみたいだけど、一つだけ見落としてる点があるわ―私はね、元教育省次官の娘よ?日本の教育界で私のパパに逆らえる人はいないわ』
一条フサエのこれが切り札だった。
この印籠をふりかざせば、確かに誰も彼女に逆らって来なかったのだ。
教師も生徒会も保護者達も。
『だからさっさとここから出してよ?こいつらはくれてやるからさ。でもあんた馬鹿じゃないの?今更死んだ従姉妹の復讐!?ふふっ、あはははははっ!今年で一番笑える話だわ!?なにそれ、あんたもしかしてシスコン?うわっ、気持ち悪い!あんたねえ、彼女いないでしょ?てか一生出来ないわね!そんなネクラで軟弱な世間知らずじゃ無理無理!あははっ、いっそあの生意気な女の後を追って自殺してれば良かったのにねえ―はいはい、分かったから馬鹿は馬鹿同士で遊んでなさい。私はね、これから都心でブランド買いに行かなきゃいけないんだから』