ルシフェルから放たれた矢が一直線に彩羽に向かう。彩羽はそれを手にはめた手甲で乱暴に叩くと疾風のようなスピードでルシフェルの顔面を殴りつけた。
「ぐう…ぉ!」
反動した彩羽の拳が閃光のようにはしる度ルシフェルの体が宙へ浮かぶ。
「近付いていれば矢などただの荷物でしかないだろう」
「ふん…ただ殴り合うのは美しくないね…お前らしいが」
その言葉とともにルシフェルの腕が彩羽の顔面へ伸びる。
ルシフェルはそのまた顔面をつかみ、体つきからは考えられないような腕力で彩羽を叩きつけた。
「ぐっ…、殴り合うのは美しくないんじゃないのか?」
「時と場合によってはそうでないこともあるのさ」
ルシフェルが彩羽を押さえるつける力をさらに強くする。
「どけよ……、このクソ野郎が!」
彩羽はルシフェルの手を払いのけ、その腹を鉄拳で殴ると、追撃を加えるように顔面へ畳み込んだ。苦痛の叫びとともにルシフェルの体が後方へぶっ飛ぶ。
「イヤな野郎だ…ちまちま殴ったりしないで『神器』を使ったらいいだろう」
ルシフェルが立ち上がりざまに吐き捨てるように言った。
「ふん…そんなに死にたいか…」
彩羽が手を開く、そしてその掌に光のような粒子が集まる。「…ギルガメシュ…でてこい!」
眩い光とともにショットガンに似た巨大な銃器が現れた。
彩羽はその引き金に指をかけるとルシフェルに向け引いた。凄まじい爆音が響きわたり、ルシフェルのすぐ後ろで巨大な爆発が起こった。
「次は当てるぞ」
彩羽が口元をほころばせルシフェルを指差した。
「三味線ばかり引きやがって…本当に嫌な男だ…」