得意がる一条フサエに逆上して、梅城ケンヤは熱線銃をぶっ放したりはしなかった。
代わりに演壇の内側をまさぐって、彼は1つの黒いファイルを投げ付けた。
『これを見たまえ―このファイルを』
足元に落ちたそれを拾うフサエに、ケンヤは再び銃を構えながら、
『君の父親がどれだけ力があろうとも、地位が高かろうとも、官界も教育界もだから一枚岩と言う訳じゃない。増してや強過ぎる力は敵意や反感の源ともなる!』
汚職・不祥事・癒着・女性問題―\r
みるみるファイルを持つ一条フサエの両手が震えだした。
多かれ少なかれ存在するとは思っていたが、それはあらゆる証拠と証言でびっしりと埋め尽されていた。
そう、彼女の父親が一夜にして留置場送りにされるだけの、これまで繰り返した悪行がそこには羅列されてあったのだ!
梅城ケンヤは計画を実行するまでに、ここまで用意していたのだ。
『ふん、こ、こんなの、ただの内部告発とか、ネットの噂話じゃない!言っとくけど、け、警察がこんなあやふやな代物何か、相手に何かしないわ!』
『警察じゃない。警察を動かせるだけの人に見せるんだよ?と言うかもう見せたんだが―君の父親の政敵にね?君以上にお父さんは敵が多過ぎる。まあ、親子そろって引道渡してやるさ。君ごときで共倒れする分けにも―いかないんでね!ははっ、はははははははははっ、ハハハハハハハハハハハハハハ!!!!』
床にへたり込むフサエを見下しながら、ケンヤは思いきり呵呵大笑してやった。
―そうだこれが本当の勝利の笑いだ
仮に脱出出来ても、今までのスキャンダルが暴露されれば一条フサエの一家は破滅する!
お嬢様として贅沢に遊び暮らせた生活も、将来もあっと言う間に瓦解する!
彼女は没落し、それこそ日本中を逃げ回る惨めな日々が待っているだろう―\r
アメリカ留学もアイビーリーグをハリウッドも、強力な後盾があったからこそ、追い求めれた夢だ。
くくっ、最高だぜ―\r
梅城ケンヤはようやく笑いを抑え、
『そうだ、もう1つ選択をくれてやろう―お前らここで殺し合えよ。特別の情けだ。最後に生き残った一人は助けてやる!だから殺し合え!!!!この場で!!!!!』
梅城ケンヤは悪魔の形相で、最高の提案をイジメグループに出した。