犬が我が家にやって来るとなって、私達はどんな犬なのか、散歩は誰が行くのかとか、会える日をいまかいまかと楽しみにしていた。
そして、ついに会う約束をした日。
私達家族全員で新車に乗って、お姉さんが待っているというホームセンターまで車を走らせた。
私は赤信号で止まることにいらいらするほど、ワクワクしていた。
ホームセンターの駐車場に入る道から、お姉さんがピクニック用の緑色のかごのようなものを持って立っているのが見えた。
『あー!!あそこにいる!!』
妹が窓越しに指さししていた。
犬はどこかなぁ…
私はすでに犬を探していた。父はお姉さんの車の近くに駐車した。私と妹はすぐに車から出て、お姉さんのもとに駆け寄った。
『久しぶり〜元気やった??』
後ろからお母さんたちも駆け寄って来た。
『元気元気!!じゃあエルフは…』
お姉さんは、持っていたかごの小さなふたを開けて、フワフワの綿のようなかたまりを私に抱かせてくれた。
『エルフって呼んであげて。』
『エルフ〜エルフ〜』
綿のような犬はカタカタ小刻みに震えながら、私達の呼ぶ声に反応していた。まだ怖いのか、私の腕に爪がくいこんで少し痛かった。
『抱かせて〜』
妹が言うので私は仕方なく渡すことにした。それでもまだ震えていた。
『かわいいやろ〜。チワワっていう犬種なんやで。』
お姉さんが言う言葉を聞いて、私は妹が抱いている犬の顔を覗き込んだ。
鼻は黒くて湿っていて、目はクリンクリン。顔の大きさの割に大きい、ピンッと上に尖った耳。本当にかわいかった。
『これ、ゲージね。』
お姉さんが持っていた小さめのかごはゲージだった。こんなのに入るのかという程小さかった。でも犬は私の両手にすっぽりおさまるほど小さかったから、この時はまだぴったりだった。
お姉さんと別れて車の中はすごく賑やかだった。
『貸して!!』
『えー、まだ駄目!!』
子犬争奪戦が繰り広げられていた。あまりにうるさかったのか、
『お父さん運転中ながやけん静かにせないかん!!』
と、母に怒られてしまい、結局子犬はゲージの中へ。
この日から、私達5人とエルフの生活は始まった…