イジメグループ達は、立ったまま、あるいは這いつくばったまま、お互いを見合わせた。
この中で最後に生き残ったヤツだけが救われる―\r
そう自覚すると、三者三様に巡らされた思惑と打算とが見えぬ火花となって激しく交錯した。
何よりも、一番凄まじかったのは、生き残りたいと言う執念だった。
そんな連中に、残酷な喜びにはち切れんばかりの目線と言葉を梅城ケンヤは投げ付けた。
『弱肉強食―なんだろう?だからイジメてライバルを蹴落とすんだろう?自殺さした上で、証拠隠滅をはかるんだろう?だったら、成すべき事は1つしかないよな?』
そう―\r
今イジメグループで一番の【弱者】は―\r
片足を失った村上シンジだ。
残る二人の視線が倒れたままの彼に注がれ―\r
『う、ううっ…おまえ…ら…何を…考えてるんだよお』
敏感に命の危険を察知したシンジは、情無い声を出し始めた。
『さっさとやれよ!何を躊躇う!今まで散々殺して来たお前達のスコアにたった二人分加算されるだけだろうが!風紀委員!奴らに武器をくれてやれ!』
梅城ケンヤは鋭く叱咤し、イジメグループ達の足元に刃物や警棒を投げ与えてから、風紀委員達は銃を構えつつ、ゆっくり後退する。
『さあ、早くやれ!それともこの場で全員死にたいかあ!』
梅城ケンヤは正しく復讐鬼と化していた。
イジメグループ同士を力ずくで死ぬまでイジメ合わせる―\r
これこそケンヤが考えた最も満足行くしかえしだったのだ。
やがて―\r
焦点を失ったヤバイ目付きで、桂シュンスケが、警棒を拾った。
『へ、へへへ…そ、そうだよ…こいつを殺して、おれが、生き残れば良いんだ…』
不気味なつぶやきとともに、村上シンジに近付いた。
ゾンビの様に―\r
『ううっ、あうあっ、や、止めてくれ、止めてください止めてください…ひ、ひぎゃああぁぁぁぁぁぁっ!!!!』
握られた警棒が今だ湯気を放つ足の付け根にねじ込まれ、哀願むなしくシンジは再び絶叫を放った。
『あはっ、アハハハハハッ!オラッ、オラオラオラッ!!!!』
躊躇いを棄てれば後ははやいものだ。
反り血を浴びながら、桂シュンスケは警棒をばんばん振り下し―\r
骨を砕く鈍い音が陰惨なリズムを刻む中、村上シンジは絶命した。