夢現綜軌帳相樂闘劇 弍

やいせ  2007-09-02投稿
閲覧数[554] 良い投票[0] 悪い投票[0]

肆之佐は立ち上がり、辺りを見回す。
此処に居るという事は、何処かから此処まで来たという事だ。
ならば、その何処かへ帰らなければ。
さて何処から来たのだろう。覚えていない。
しかし、別に思いだそうとも思わなかった。

肆之佐は、帰る事にした。
鞘に手を当て刀があることを確認し、歩きはじめた。
━━━━━━━━。
「不還者なんて最近じゃ珍しいわね。」
声の主は肆之佐の後ろに立っていた。
小柄な容姿に紫の長い髮、染み付く様な紅い瞳。
光を絡めて離さない白い衣を纏っていた。

「‥‥‥私は、導く者。
貴方は‥人間ね?」

「‥‥‥?」
肆之佐には意味が解らなかった。
取敢ず、人間かどうか問われた事は解る。言葉の意味も理解出来ている。
しかし、そんな当然な事を問うてくる意味が解らなかった。
肆之佐は人間だ。何処をどう見ようが、人間にしか見えない。

肆之佐が考えるのを暫く黙して見ていた少女は、一点を指差し、こう言った。
「貴方が向う可き方向はあっち。」
少女が指差す方向には道があった。
ギリギリ径[ミチ]か?といったところか。獣道に近い。
しかし、さっきからあっただろうか?


━続く━

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 やいせ 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ