その写真は、美紀と洋介が付き合う事になった日の二人であった。
洋介は16才、学ラン姿でポッケットに手を入れて、くわえタバコで照れ隠し、目線は横をみている。
美紀は14才、制服姿でピースをしているが、顔が真っ赤で目線は下。二人共ぎこちない姿である。
美紀の中学校には北、南と二つの小学校から生徒が集まっている。
美紀は入学すると、同じクラスの梨華と仲良くなり、
梨華と同じ北小の真弓、早織とも、遊ぶようになる。
美紀達は部活には入らず、
早織の家で集まるようになる。
早織の隣近所には、三年の先輩が住んでいて、その影響で先輩達のタムロしている場所にも顔を出すようになっていた。
夏休み前には、髪の毛を脱色し、タバコを吹かす程にもなっていて、学年では目立っ存在になっていた。梨華には、二年生の彼氏もいた。
美紀達には、学校生活が全世界であり、仲間や先輩達とつるんで遊ぶ事しか頭になかった。
夏休みに入り、昼と夜が逆の生活を送っていた。
その日も昼過ぎに起きてきた美紀は食事を取りながら、今日は何をするか考えていた。
すると電話が鳴り、出ると梨華からだった。
『今日の夜出れる? タカ君(梨華の彼氏)が先輩達と花火やるから、来いよって
、先輩達みんな来るらしいよ〜』
『マジで?行くよ〜』
『アタシはタカ君なんかと行くから、美紀は早織達と来てね。8時に〇〇公園のタワーの所だって。』
『うん、8時ね。また後でね。』
美紀は早織と連絡を取り、待ち合わせをした。
7時に真弓の家の近くのコンビニで。
親には早織の家で、宿題をやると言い、外泊を許可された。
美紀はドキドキしていた。
(みんな来るって・・・洋介先輩も来るのかな・・・)
まだ誰にも言った事はないが、美紀は三年の洋介に憧れていた。
洋介は三年のグループでは控え目なタイプで、実際、喧嘩は一番強いと思われていて、格好も小綺麗で周りからは一目置かれていた。
そんな硬派な感じが普通の女子生徒からも人気があり、二年のグループからも慕われていた。
美紀も、そんな大人の雰囲気がある洋介に憧れていた。
美紀は洋介に会える事を願い、待ち合わせ場所へ自転車を走らせた。
つづく