熱線銃で頭を吹き飛ばされた桂シュンスケは、首から派手に鮮血の噴水を撒き散らしながら、ふらふらと妙なダンスを始め―\r
―もつれながら一条フサエの背中に抱きついた!
『イ…イヤァァアァァァアァァァアアアァ!!!』
首筋に絡むねっとりとした感触に彼女は悲鳴を上げ―\r
『キ…キャァアァアァアァァァアアァァァァ!!!』
自分の顔に手を当てて確かめた物が何かを見ながら、再び絶叫し、目を白くする。
彼女の顔面は、知らずして桂シュンスケの脳髄で、赤く白くアートされていたのだ!
そのままずり落ちるシュンスケの死体をそのままに、しくしく泣き出すイジメグループの黒幕の姿に、
―ちっ
梅城ケンヤは舌打ちした。
とんだハプニングだ。
本来ならばもっと、こいつらの共食いを楽しむつもりだったのに。
だが、梅城ケンヤは銃を下ろすと、
『おめでとう一条フサエ君。君は生き残った。ゲームは終りだよ。だから君の処刑は取り消しだ』
それを聞いて、今だ他人の体液まみれの顔すら拭かずに、
『私は、私は―助かったの?もう許してくれるの?』
一条フサエはかすかな声で、会長に尋ねた。
『ああ。俺は約束は守る』
梅城ケンヤはうなずいた。
―だが
『俺も風紀委員も君に手出しはしないよ?だから帰りたまえ―今上にいる、君達のイジメで死なされた生徒達の遺族諸兄の追撃の手を逃れる事が出来たらな!!!!』
『そ、そんなあ!!』
思わず涙をこぼしながら、フサエは再び床にへたり込んだ。
彼女達はやはり、とんでもない相手の恨みを買っていたのだ。
そのとんでもない相手が片手を上げて合図すると、待ってましたとばかりに、左右の観覧席から遺族達が立ち上がり、内部階段を伝ってぞろぞろとこちらに降り始めた。
ステージ横のドアを開けてもうじき姿を現す彼らが、フサエを許す事はないだろう―\r
『処刑はしない―だが、事故死はさせない何て約束はしなかっただろう?いや、それとも自殺―と言うことにしといてやろうか?何、死体を屋上から投げ捨てれば良いだけだから、遠慮はいらないよ?父親の失脚を知り、悩んだ末君が自殺する―うん、シナリオとしては中々だなあ―フッ…ハハッ、フハハハハハッ』