『鬼!悪魔!!』
へたり込みながらも一条フサエは罵ったが、
『自分で撒いた種だろうが!!だったら自分で収穫するのが筋だろう!!!それが毒草だろうが人食い花だろうが、今更食えません何て虫が良すぎるんだよ!!!!』
梅城ケンヤは悪魔すら恐れをなす剣幕で怒鳴り付けた。
そこへ、遂に舞台横の鉄製の扉が開いて、イジメの被害に苦しんだ家族や遺族達が、手に手に武器を持ちながら床に足を進め、彼女を取り巻いた。
その時だ―\r
いきなり鳴った携帯が、緊迫し切った場の雰囲気をぶちこわし―\r
『―はい、もしもし』
ケンヤが不機嫌そうにそれに出てみると―\r
『―何だって!?』
みるみる彼の表情は引きつり始めた。
『九重モエが―なぜ、こんな時に…?とにかく彼女を通すな!』
ええい―\r
携帯を閉じると、梅城ケンヤは内心で罵った。
そして―\r
『急げ!ぐずぐずしないであいつを殺せ!!』
もう見境もないままに、遺族達をけしかけ、自分も熱線銃をフサエに向け直した!
その指示を恐らくは最高の歓喜と共に聞き入れた遺族達は、すぐさま一条フサエに飛びかかり、髪を引っ張り、床を引きずり回す。
だが、それでもケンヤの怒りと焦りはむしろ益々燃え上がった!
『ええい、まどろっこしい!そこを離れろ!俺がやる!』
演壇から飛び降りた彼は、遺族達を振り払って、泣き叫ぶフサエのこめかみに熱線銃を当てた!
だが―\r
バァァァン
外部ドアの一つが乱暴に開けられて、差し込む日光を背景に、二人の影が現れる。
一人は長身の学ラン姿。
そして、もう一人は―\r
『ぐ…くそうっ』
梅城ケンヤはそちらを睨み付けると、心底運命を憎んだ。
―だが、もう遅い!!
躊躇わず彼は熱線銃の引き金を引いた。
何度も引いた。
だが―\r
反応がない!
慌てて銃を目の前に寄せると、【要冷却】標示が出ていた。
つまり、一種の故障だ。
『あぁあぁあぁぁぁあぁぁぁっ!この女がぁぁぁぁっ!!!』
怒りのままに、ケンヤは銃身でフサエの頭を殴り付けた。
だが、ふたたび銃を振り上げた時、後ろに横たわる桂シュンスケの死体につまずき、そのまま仰向けに倒れてしまった。