店を出て、実奈さんと歩く。駅へ向かい、人通りの少ない路地へと出た時、一人の高校生とすれ違った…
私の左の肩と彼の左の肘がわずかに触れ、2歩遠ざかった時、後ろから、
「ユーキ?」
男の声。
ん?
振り返った。
その彼を見つめた瞬間。
時が止まった。
ゆっくりとゆっくりと流れていく『時』に私は気づかない。
ずっと彼を見つめてた…
「あっ」
「すみません」
彼はそう言って悲しそうにこう続けた。
「ユーキ、なわけ…ないですよね。」
「すみません」
そう言って立ち尽くす私を残して彼は立ち去った…
心が切ない
体が動かない
胸が苦しい
去り行く彼を見つめながら、私は気づかなかった…
『恋におちた』ってことに…