遺族達は逃げだした一条フサエ達の後を追い、更に梅城ケンヤ達生徒会長メンバーも善後策を練るべくひと先ず会長室へと姿を消し、空になった体育館には桂シュンスケらの遺体が残るだけになった。
会長室に待機していた風紀委員長・赤木マモルにケンヤは尋ねた。
『赤木―君は俺を―俺の理想を信じるか?』
赤木マモルは胸を張った。
『全面的に会長を支持します』
ケンヤは内心ホッとした。
多少所か、今回ばかりはかなりの無理を冒してしまったみたいだが、幸い彼の求心力はまだ健在みたいだった。
『では、風紀委員会に総動員をかけ、一条フサエ達を確保してくれ。指揮は君に任せる。俺は特別調査取締班(特調班)を引率して、奴らを追跡する』
『はっ』
風紀委員会が予備までかき集めればその総数は70人。
更に特調班のメンバーが8人。
併せて78人―これが梅城ケンヤが手塩にかけて育て上げた第三中学校の【全軍】なのだ。
だがそこへ―\r
開かれたドアと共に、もう一人厄介な人物が入って来た。
『九重会長から話はききました。この騒ぎはなんです!?』
入りざま、副会長・港リリアは梅城ケンヤをなじった。
『港副会長―君を呼んだ覚えはないが?』
『体育館での騒ぎは一体、何があったのです!?他校の学生が二人も死んで、いや、殺されているのですよ!?それに、工事だなんて、全然行われてないじゃありませんか!説明して下さい!梅城会長!貴方は一体何をしようとしているのです!!!』
梅城ケンヤは立ったまま両手を机に突き、港リリアをきっと睨み付けた。
『港副会長―君はうちの生徒会役員なのか?それとも九重会長の命令で動くつもりなのかね?』
『い、いえ―ですが!』
『私も体育館の大惨事で仰天している所なんだよ。部外者同士の乱闘騒ぎだよ。それで死人が出たんだ―今分かってるのはそれだけだよ』
梅城ケンヤの対策は、入念を極めていた。
万が一、自校の生徒が現場を見てしまったとしても、付くべき嘘、消すべき証拠はちゃんと考えていたのだ。
だが―\r
それでも水漏れ箇所はある―\r
『九重会長には誤解があるみたいだ―とにかく、一条フサエがこの事件を良く知っている、あるいは関与している以上、こちらに引き渡して貰う』