東武心霊探偵事務所〜闇を生む花〜

睦月  2007-09-05投稿
閲覧数[605] 良い投票[0] 悪い投票[0]

彩乃。 
優しくて美しい、僕の妻。彼女はやさしい。やさしすぎるほどにやさしい。
だけどもなんで? 
どうして、僕を見てくれないの?  
ぼくを透かして、だれを見ているの?

武藤はゆっくりと顔をあげた。その表情は桜杯がみたことないような、情けなくて何かに追い詰められた頼りない表情をしていた。 「せんぱ…」
「…ごめん桜杯くん。」
かたり、とコップをコースターに置いた。 
「今回はちょっと僕無理かも。」
桜杯は一瞬何を言っているか解らなかった。 
無理かもしれない。 
はっきりと彼はそう言ったのだ。 
いつも飄々と笑い、無理そうでも『今回ちょっと危険だから失敗しても文句なしね』と言ってやってくれる武藤が。
はっきり、無理だと。 

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 睦月 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ