散髪屋の椅子に座っていると、後ろの柱時計が鏡に映って見えた。
左右が逆になっているので、何時何分か分かりにくい。
仕方なく、腕時計を見る。
ふと思ったのは、左右対称に見えて、上下対称に見えないのは何故か?
ある哲学者が、この問題に長年悩んだという話を思い出した。
考えてみたら、この顔も左右逆に映っているはずで、人から見たら向かって右に左目が見えるはずだ。
それに、顔の上下も鏡の中で逆に映ることはない。
それは何故か、説明を求められたら、当たり前過ぎて、答えられない。
…散髪が終わって、鏡を見たら、眉毛が左右不対称に仕上がっていた。