夏休み真っ最中。
私は友達と遊ぶ約束をしていた。友達がエルフも連れて来てほしいと言うから、自転車のかごに乗せていざ出発。
エルフはかごのすき間から足が出るらしく恐がっていた。
熱い太陽の光が照り付ける中、凸凹の道を走る。
『ちゃんときれいにしてよねぇー。』
独り言を呟きながら坂道を上っていく。
『ふぅ〜あっつい!!』
坂道を上りきってフラフラしていた。道はやっぱり凸凹。
『あっ!!!!』
急ブレーキをかける。
『エルフ大丈夫!?』
少し驚いた様子だったけど何ともないみたいだ。
凸凹道をフラフラしていたため、その衝撃でエルフがかごから落ちて、さらに私が自転車から落ちたエルフを乗り越えてしまったのだ。
『ごめーん!!』
私は毛が何本も抜ける程エルフの体を摩って謝罪した。そんなことがあった以降、自転車のかごには絶対乗せないようにした。
夏休みも終わり、2学期が始まったある日、母が[チワワの飼い方]という本を買ってきた。
『表紙のチワワよりエルフの方がかっこえいし、可愛いね。』
妹が誇らしげに言う。
この頃のエルフは、歳の割には小柄だった。母が、あんまり食べさせると、太って将来体に負担がかかってしまうから、と餌は少なめにしてきたからだ。でもこれぐらいがチワワにはピッタリだ。相変わらず可愛さ満点。たくましさ完璧だった。
母が買ってきた本を読んでいると、犬は人間の1歳で、18歳だと書いてあった。なんで犬と人間にこんなに差があるんだろう。言葉は通じなくても人間の言っていることは理解出来るし、考えることも出来る。不平等だ…なんて思ってた。でもやっぱり犬が出来ることにも限りがあったんだね。