バスに乗ってイヤホンで音楽を聴いていたら、首の左側が強くチクチクするので、手を当てたら柔らかい物がとれて手のひらに乗った。
見たら緑色の芋虫だった。緑の惑星という小説で、緑色の宇宙人が人間に根を射し込んで仮死状態にするという話を書いたばかりだったので、それが現実化したような錯覚に捕われて、鳥肌が立った。
冷静に考えてみたら、公園の脇の木立の中を通ったときに体に付いたのか。食べるものがないので、代わりに人の皮膚をかじってみたのだろう。
それにしても、人間にかじり付くなんて!
それでも、殺さないで座席横のスペースに置いて、バスを降りた。
生きるチャンスがあるなら生きなさいと。