村を出て二日目。センチは一人の老人に出会った。老人には右腕が無かった。
｢よう少年！テスカを探しに行くのか？｣
｢ああ！俺は神の子だからな！｣
センチは、風の手の能力を老人に見せた。
｢こりゃたまげた。神の子を見るのは初めてだ。本当にいるんだな。｣
｢おっさん何してんだ？｣
｢テスカを探してるに決まってるだろ。男に生まれた以上、ロマンを追い続けていてえだろ？｣
老人はそう言うと、頭をポリポリと掻いた。
｢こんなじじいになるまで捜し回っててもまったく見つからねぇんだ。だがテスカはかならずある！そう信じてえ。｣
｢まぁ頑張れよ。俺が見つけるまでな。ははは！｣
センチは老人に背を向けると、じゃあな。と言って手を振り、その場を走り去った。
｢神の子か…元気な少年だった…奴に会わなければいいが…｣
老人はセンチの背中が見えなくなるまで見送った。かつての自分とセンチの姿が重なったのだ。そして、だからこそ心配なのだ。
｢少年よ…｣
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