シングルファザー……本当の親子4

テルヒト  2007-09-08投稿
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美緒が来て春、夏が過ぎた。俺は昔から町内の行事にも積極的に参加してので、そのことがあってか、美緒と触れ合う機会が多かった。最初は無視されていた俺だが、時が経つたびに美緒の方から声をかけてくるようになり、夏には二人で近所のプールにも行けるようにまでになった。……しかし、少し困ったことがある。美緒は俺の事を「パパ」といい始めた。最初言われた時は、嬉しいような恥ずかしいような気がしたが、蝉の泣く声がもうほとんど聞こえなくなる頃には、もう慣れていた。

秋に入り、俺が授業の一貫である幼児施設に行く、教育実習が終わった頃のある日、幸子さんから電話がかかってきた。

「もしもし、いきなり変な事を言うようだけど、来週の日曜日に父親参観があるんだけど……美緒がどうしても貴方じゃないと駄目だと言うの。時間があればでいいんだけど……」
この言葉に俺は電話越しに驚いていた。
「えっ?俺ですか?」
「駄目ならいいのよ。気にしないで。」幸子さんは遠慮がちに言うが、そこまで言われたら気にしてしまう。
「いえいえ、俺なんかでよかったら…来週の日曜日ですね。わかりました」こんなことしか言えなかった。まぁ実際、日曜日はなにも用事はなかった。
というような感じで、あっという間に父親参観の日になった。



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