「うぅっ…くっそぉ…」
気付くと白冬に派手に
何回も転ばされた少年が
泣いていた
「「………」」
「うぅっくそぉ…ズズッ…何で俺は何も出来ないんだ…ズズッ…」
「………?」
「………」
「こら!男が少し転ばされたくらいで何泣いておる!泣くくらいなら相手にやりかえすくらいしろ!!!」
大名が喝をいれた
「ズズッ…ヒック…」
少年はビックリして
顔を上げた
「男が涙を流すときは大切なものを失ったときくらいだ!!!お前はあの盗賊らがそんなに大切な仲間だったのか?」
「…ヒック…」
「大切ならばなぜ一番大変なときに一緒に戦わぬ?!なぜあの警察らではなく私にかかってきた?!」
「違うっっっ!!!俺の大切なものはあいつらなんかじゃない!!!」
少年が急に言い返した 「あいつらなんか…母さんを傷付けて…俺を足手まといに扱って…。あいつらなんかどうなってもいいんだ!!!」
「じゃあなぜこんなことをしておる?」
「うるさい!!!仕方ないんだ!!!俺がそこで働かなきゃ家の物全部持って行かれちまうんだ!!!」
言ったあと少年は
しまったという顔をした
どうやら言っては
いけないこと
だったようだ
「ふむ…なるほどな…」
「失礼します」
と、警官が話しかけてきた「そちらの少年も、連れていってよろしいでしょうか?」
「…え…俺が…警察に…?」少年は今度は
絶望的な顔になった
「…少年…家族はいるか?」大名がきく
「うん…母さんが…。でも病気なんだ。俺が働いて金を稼がなくちゃいけないのに…」
「それも盗賊の一味に入った理由か?」
「うん…俺がいい働きしたらご褒美たっぷりくれるって…」
「ふむぅ…」
大名が何か考えると
警官に向き直った
そして
「いや〜すまないな。実はこいつは私の孫なんだ。近くに遊びに来るといっていたんだ。大騒ぎして悪かった。こいつはすぐ真似をしたがるんだ」
と満面の笑みで言った
背中からこれ以上
追究するなオーラが出ていた「は…はぁ…」
「ほら!お前も謝りなさい」「…え…えっと…ごめんなさい」
そして大名は少年を
自分の籠車におしこんだ
「じゃあ私は先を急ぐのでな。ほれ、出発するぞ」
そういってさっさと
進み出してしまった
響達も慌てて
あとをおった