「いっ…痛いなぁーひどいよぉ快ちゃん…」
「快さん…二人でいるのに邪魔しないで下さい…」
風呂桶を投げ付けた犯人である快は恐ろしい剣幕で二人に詰め寄った。
「上司がまだ帰って来て無いのに勝ってに寛いでしかもイチャつきやがって罪悪感ってものは無いのか?」
「ナッシング。」
「ありませんよそんなもの。
こっちも仕事はちゃんと終わらせたんですから文句言わないで下さい。」
二人は悪びれる様子も無くケロッとしている。
「お前等のせいでこの小説のジャンルがR18指定の恋愛になる所だったぞ…」
「何言ってんのー意味分かんないよぉー」
「やっぱり何でもない…気にするな忘れろ。」
快はそう言うと靴を脱いでズボンをめくりあげて足を湯の中に浸した。
「それより例の神主と巫女は?」
銀髪の男―蓮がそう言うと今までの場の空気が変わり皆真剣な表情となった。
「口止めは成功した。
鬼神勇と遭遇するというイレギュラーが発生したが特に問題はなかった。」
「殺したの?」
「殺して無い。
取り敢えず神谷に『神話は現実と化すと言っておけ。』っと言って何もせずに戻って来た。あいつにはまだ利用価値があるしな。」
快がそう言うと女はさっきとは打って変わって不安な表情で話始めた。
「私達…これで良いんだよね…
これで…アイツら皆…死ぬんだよね…
でも…その後…私達も…」
「美那…心配するな…」
蓮は美那を優しく抱き締めた。
「心配しなくて良い…
奴等はお互いに潰しあって自滅するだけだ…
それに…美那は俺と違って鬼類じゃないんだから…」
そう言うと蓮は美那を更に強く抱き締める。
「二人共案ずるな。
俺達は奴等とは違う…
蓮…お前もだ。
俺達は鬼人じゃない…
少なくとも…中身はな…」
「これも紛争を終わらせる為だよね…
日本を平和にする為だよね…」