「愛美、大きくなったら勇治君のお嫁さんになる!」「本当!?約束だよ!」
ゆびきりげんまん♪うそついたらはりせんぼんの〜ます! ゆびきった!!
「ハッ!!」
ガバッ!!
「……夢か」
まだ幼い私が出てきた夢。それは、私の記憶だった。幼い私は、近所に住んでいた勇治君のことが好きだった。そう、私の初恋だ。そして、2人で遊んでいる時に言ったのだ、『お嫁さんになる』と。勇治君も喜んでいた。指切りをした時、とても嬉しかったことを今でも憶えている。
なぜ、突然思い出したのだろう。ずっと忘れていたのに。だって、勇治君はもういないのだから。あれから数日後、勇治君とその家族はいなくなってしまった。母さんは「引っ越したんだよ」って言ってたけど、たぶん違うと思う。なんとなくわかるのだ。
「愛美〜!遅刻するよ〜!」
母さんに言われ時計を見ると、7:50と記されていた。
「ヤッバ!!」
私は急いでベットからでた。
キーンコーンカーンコーン……
「ハアハァ……。」
なんとか間に合った。
結構ギリギリだったけど。
ガラッ!
先生と男子が入ってきた…んっ!?男子?
そこには転校生がいた。
結構かっこよくて、いかにもモテそうな人だ。
「今日からこの学校に来ることになった、神裏 勇治君だ。みんな仲良くしろよ」
えっ!勇治君って……
「神裏の席は……右の列の1番後ろだ。」
しかも、隣!?
私はメッチャ ドキドキしていた。確か、あの勇治君も神裏だったはず。今日の夢はこれを示していたんだ!
勇治君が席に座ったとたんに私は話しかけた。
「私、橋本 愛美ってゆうんだ!憶えてない?勇治君ここに住んでいたよね?その時近所に住んでいたんだよ!一緒によく遊んだじゃん!虫取ったり、木に登ったり、あっ!そういえば、秘密基地もつくったよね!?すぐ壊されて泣いたけど…」
「あのさ俺、お前なんか知らねぇよ。横でうるさくするな。めざわりだから」
えっ…人違い?
いや、そんなはずない。顔だってにてるし、神裏なんてめずらしい名字だし。でも、なんで憶えてないんだろ。なんか……寂しい
これが、私の恋の始まりだった。