エルフがやってきて、もう1年が経ち、私は小学2年生になっていた。
この頃は、朝の散歩に行くのが面倒で親や兄にまかせることが多くなっていた。
私の誕生日は、じめじめした梅雨の真っ最中の6月。ある日、またいつものように朝、親に起こされる。そして私と妹はやっぱり二度寝。私と妹の間で寝ていた兄は、その日、機嫌が良かったのか早起きだった。
『ん"ー』
私はそろそろ起きないと怒られると思い、嫌々起き上がり妹を起こした。
外はやっぱり雨が降っている。エルフは兄と散歩に行っているのかベッドにはいなかった…
両親は早朝から仕事で、帰って来るのは7時。
私と妹は着替える時、恥ずかしがり屋だからどっちかが真っ暗な押し入れの中で着替えていた。
その日は私が押し入れの中で着替えた。引き戸のすき間から窓から差し込む一時の太陽の光が差し込んでいた。
『キャンッ』
家の前の方から動物かなにかの鳴き声とも言えない叫び声が聞こえた。
『猫やろうかねぇ。交通事故に遭ったっぽいね。』
私はそう言ったものの、なんだか心臓がドキドキしてきて、いつの間にか早く見に行こうって思ってた。
『舞!!見に行こう!!』
家の前の方から聞こえたんだから、窓から覗いたらいいのに2人は急いで外に出ようとしていた。
私は階段を駆け降り、1階へ向かう。
信じたくなかった。急に涙が溢れてきた。
カーテンが開いた窓には、兄と父と母が庭を走る姿があった。
『エルフが………』
遅れて来た妹も状況を判断したらしく、泣いていた。空には一面の雨雲が広がっていた…