処刑生徒会長第二話・26

まっかつ  2007-09-11投稿
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そして、例の高架下では―\r

九重モエが携帯を閉じ、失望もあらわに首を振っていた。

『何度頼んでも同じね―【梅城会長に引き渡せ】と―』

拳銃を持ちながら、ボディガード・霧島ユウタが近付いて

『ダメ―でしたか』

『太田会長は余計な火の粉は被りたくないみたい―それは分からないでもないけど』

確かに、他校での事件に関わった自分の方が、色々と面倒な存在なのかも知れない。

しかも、まだ詳しい経緯すらまともに知らないのだ。

事前の準備も調査もなしに、【強国】を敵に回しかねない行いをした自分は、一校の会長失格と言われても仕方がない。

だが―\r

『もしあの時点で手をこまねいていれば、あの子はとっくに死んで―』

そう呟きながら、タクシーの中へと目をやって―\r

モエは開いた口がふさがらなくなった。

後部座席で膝の上に化粧用具を広げながら、一条フサエはせっせとメイクを始め、携帯を取り出して誰かとくっちゃべっている。

しかも―\r

『ねえ早く出してよ〜もうじき日が暮れちゃうよ〜?今夜はクラブで待ち合わせしてるんだから〜』

座席のせもたれにかじり付いて、勝手に運転手にゴネり出している―\r

その様子は、ついさっき復讐鬼に殺されかけた少女の面影などみじんもなかった。

『どうされます?じき第三中学校もここを嗅ぎ付けるでしょう』

その様子に複雑な目を示しながら、霧島はそう尋ねた。

『行くしか―ないでしょう』

今ここで第一中学校の協力が得れないのならば、もたもたする分けには行かない。

だからと言って、一条フサエを見捨てる分けにも行かないし、とにかく彼女を安全圏に逃がすか、自分達の学校に保護するしかないのだ。

『いくら梅城会長でも、私や貴方にまで手を出すとは思えませんが―』

自信なく返事しながら、車に戻ろうとする九重モエを、霧島は呼び止めた。

『お待ち下さい。このまま第三中学校学区に戻れば、衝突は必至です―集結を終えた我が校風紀委員会に連絡を取ります』

『でも、遠過ぎて間に合わないわ?』

『いえ、そのまま第三中学校との境にまで進ませるのです。これで彼らの目を引き付けましょう―その間に我々は高架沿いを北に向かいます―最寄りの駅まで2キロ―上手く行けばそこから電車で逃げ切れます』

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