処刑生徒会長第二話・28

まっかつ  2007-09-11投稿
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既に六時になりかけて、街は次第に暗くなっていた。

北に急ぐタクシーの中で、霧島ユウタは、携帯で受け取った報告を九重モエに伝えた。

『安東副会長より連絡です。第三中学校は引っ掛かりました。おそよ30名が学区境の防衛に来ているそうです』

『半数は―引き付けたのね?』

だが、残る半数は今だこちらを追撃している。

第三中学校はやはり莫大な兵力を抱えているのだ。

まだ少し時間がある。

九重モエは一条フサエに尋ねた。

『何で貴方は梅城会長に追われているの?』

考えてみたら、最初に聞くべき事だったのだ。

最初に聞くべき事だったのだが、めまぐるしい事態の移り変わりの内に、ついつい聞かず仕舞いだったのだ。

だが―\r

『えー?あいつさー自殺した多聞堀ナツの従兄弟なんだってさー』

『多聞堀ナツ―ナツ事件ね』

あの頃モエはまだ小学生だったが、頻繁にマスコミに取り上げられていたから、良く覚えていた。

『その復讐のために私を殺すだってーキャハハッ、今思い出してもマジ受けるんだけどーあの梅城って何なの?頭おかしいの?』

『待って、貴方はナツさんと何の関係があるの―?先輩?友達?』

すると、フサエはげらげら笑い出した!

『邪魔だからイジメただけだけど?だってさあ、あの女ってこっちから仲良くしてやってるのに、いっつも私より少しだけ優秀な所見せるから、生意気じゃない?』

『ええっ!?』

モエは驚いて、思わず大声で聞き返した。

自分の耳がおかしくなったのだろうか?

―しかし

『だからあ、あいつが私と張り合うのが悪いっていってんのお!大人しくいつも私の言うこと聞いてれば良いのにさあ!私よりも家柄の低い、庶民の分際で、せっかく仲良くしてやってんのに、成績も人気も容姿も、いつも私より少しだけ上でいやがってさあ、ね?生意気でしょ?だからイジメたの―イジメて自殺さしたんだ』

『貴方本気でそう考えてんの?そんな理由でナツさんをイジメたの!?』

気付けばモエの顔は、真紅のリボンと同色になっていた。

冗談だったら不謹慎だし、本当だったら更に許せない。

だが―\r

『なーにムキになってんのよあんただってイジメの一つや二つして、その座に就いたんじゃないの?会長さん?』

相手は更にケタケタ笑うだけだった。

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