健太に釣り合うように頑張ってみても上手くいかない。
未だに私は健太と会話をしたことがない。それどころか誰とも話していなかった。
私は人が嫌いだし、何より自分自身が大嫌いだった。
それに気付いたとき、目の前が真っ暗になった。
夜中、眠れず家を抜け出した。あてもなく、ただひたすら走った。
疲れて立ち止まった場所は公園だった。私は滑り台に仰向けになって寝転んで、夜空を見上げた。
星はたくさん出ていて雲一つなく綺麗だった。
それがあまりに綺麗過ぎてぼやけて見えた。涙が…こぼれた。
どんなに綺麗でも有り触れているとぼやけてしまうんだ。
これは人と一緒だと思った。
一つ一つ輝けば綺麗だけど、同じ輝きばかりだとぼやけてしまう。
人を羨むのではなくて、自分の個性を磨かなければいけない。
そうすることが出来たとき初めて自分だけの輝きになる。
それは人を愛する…そして自分を愛することに繋がっていくのではないだろうか?
もう一度空を見上げたら最初よりも綺麗に見えた。
今すぐ健太に逢いたくなった。
「ねぇ…健太。貴方はもう寝てるのかな?」
そんなことを呟きながら、健太と一緒にこの星空を見たいと思ったんだ。
秋風が心地よく、このまま眠りたくなった。