処刑生徒会長第二話・32

まっかつ  2007-09-13投稿
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九重モエとて生半可な気持で死刑否定の旗を掲げてきた分けではないし、守ってきた分けでもなかった。

『イジメる側もイジメられる側も、それを裁く側も―みな同じ憎しみのるつぼに取り込まれているのです。それを止めようと私達は誓いあったじゃないですか!私達は争いたい分けでも、争そわなければならない分けでもない筈です。何か大きな流れ、いえ、自分達の無知や愚かさが恐らくは原因なのです―偏見や感情に捕われて、目の前だけしか見えず、何かを叩け、責めよ、潰せ、生かすなと人と己を煽り続ける限り、イジメも不登校も自殺も校内暴力も無くなりません―私達は争わされされているのです。それが競争原理なのか、長年の社会荒廃なのか、政治や教育の失敗なのか、複雑過ぎて1つとは言えませんが、とにかく暴力や強権での解決はそれ等を加速させてしまいます』

淡々とそう語りながら、彼女は膝元で震える一条フサエに目を落とした。

『確かに私も、この人みたいにイジメを楽しみ・利用するのは嫌いです。ですが、今は矛を納めては下さいませんか?彼女はもうじき父が逮捕され、今までの報いはこれから存分に受けるべき身―それよりも彼女の命を赦し、イジメの真の原因に立ち向かわれて下さい。貴方ならそれが出来るんです!!それだけの手腕・信念・人望―復讐何かに、間違った使い方をしてはいけません!!!』

必死の説得に接して、梅城ケンヤは怒る所かある種の爽快ささえ感じた。

―やるじゃないか

―別にナメてた分けじゃないが、穏健派のリーダーと言う呼称も伊達じゃない

梅城ケンヤは裏のない笑顔を見せたが

『価値あるお話だが、それはまた別の機会に拝聴しよう―私こそ君に手荒な真似はしたくない』

その笑顔には、もう1つの意味が示されてもいた。








―もたもたしてると、我が中学校の援軍が駆け付けて来るぞ?

―それも大量に!

いち早くその笑顔の意味を悟った九重モエは、軽く唇を噛んだ。

時間稼ぎをしていたのは向こうも同じだったのか―\r

その時、霧島ユウタがモエに目配せをした。

『おいおいおい、俺は難しい話は分からねえが、さっきから何だあ?たかが女子学生一人を寄ってたかって―俺はそんな話にゃ興味ない。喧嘩がしたいんだよ、喧嘩があ!!』

霧島はあからさまに挑発を始めた。



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