螺旋

 2007-09-13投稿
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燃え盛る炎・・・

ユラユラと、単調ながらも時折見せる恐怖を覚えるほどの火柱が、なぜか美しい・・・

まるで、魂でも宿ったかのように右へ左へ揺らめいている。

俺は、その炎に見とれて微動だにしなかった。
イヤ

動けなかったのだ。

「陽介!!」

いきなり、女性の叫び声が響き渡った。

『あぁ・・千尋かぁ・・』

そう心の中で思ったが言葉にならなかった。

『陽介? そうだ、俺の名前かぁ・・ 俺は、藤原陽介、年は今年23歳になる、仕事はフリーター ・・まあ、好きなときに働いてるって感じかぁ。
千尋は・・ 神木千尋 千尋は、付き合って、まだ二ヶ月半の新しい彼女だ・・・ まだ、二ヶ月半だが初めて本気で、結婚したいと思った相手だ、一番大切な存在・・・』

燃え盛る炎が、わっと我に返した。

俺は、今何を考えてたんだ!?
大体・・・ ここは何処なんだよ??

いきなり、不安がどっと押し寄せてきた。

よく、見ると炎の後ろに建物が見える。
古い・・・ 洋館・・?
建物までは、やや距離があるのでそれぐらいしかわからない・・。

ただ、その洋館がいまは燃え盛る炎に包まれている・・・。
悲しげに、しかし誇らしく、優雅に・・。

俺は、建物を凝視していた。 すると、いきなり洋館の陰から女性の姿が現れた!
俺は、呆気にとられた。
直後に、全身に寒気が走った。 怖い・・。
恐らく、この人生で始めてであるだろう程の恐怖に打ちのめされた。
かすかに、姿が確からめれるほどの距離のはずなのに、なぜかその顔は確かにこちらに向けられていて、殺意のこもった眼差しでこちらを睨んでいる。

すると、いきなり彼女の口が動き出した。

しかし、この距離では聞こえるはずがない。
大体なぜ俺は、口が動き出したことが分かったんだ!?

この距離では、声は愚か顔もまともに見えない。
だが、俺には確信があった。 なぜかは、わからない。 でも、なにかを呟いている。

『ヨ‥ウ‥ 陽‥介‥』
わぁ!!

イキナリ頭の中で、響き渡るような、物凄い声がした。 そ、そんなバカな!!ここまで声が届くはずがない!! しかし、耳にドロドロと纏わりついて声がとれない。 なのに、ところどころ途切れていて内容が聞き取れない。

「陽介!!」
今度は千尋の声だ、その瞬間建物は大きな音をたてて爆発した‥。

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