足りないもの?

 2007-09-14投稿
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病院へ着き、やっと葵に会うことができた。しかし、会話はできなかった…。

「葵。俺、お前に伝えたかった事があったんだよ…。」俺は、彼女の眠った顔に向かってそう呟いた。彼女の母親が俺に話かけてきた。
「大会中なのに、ごめんね。この子は、大会をあんなに楽しみにしてたのに…。今日だって、なんだか朝早くに家を出たのよ。そうそう、これ…葵が最後まで持っていたものなの。私が確認しても弓道の道具ばっかで、よく分からなくて…。」
渡されたのは、通学用のカバンだった。中を見ると確かに、弓道の道具ばっかだった。しかし、奥に手紙が入っていた。俺宛の手紙だった。彼女の母親の許可を得て封をあけた。


  蔵本 慎君へ

急にこんなの渡してごめんね。どうしても今、蔵本君に伝えたい事があるの。大会の前でこんな事言われても困るかも知れないけど、少しでも早く蔵本君に伝えたいの。私は、蔵本君の事が好きです。付き合ってほしいです。返事は大会が終わってからでいいので、ゆっくり考えてほしいです。お願いします。今日は、蔵本君が頑張ってるとこを一生懸命応援します。大会を楽しんでね。
水原 葵


葵は、この手紙を俺に渡すために開始時間よりも早くに会場に向かっていたんだ。それで、事故にあったんだ…。俺のせいだ…。おれが早く気持ちを伝えていたら…。俺は涙を抑えられなかった。俺に足りなかったのは、ちょっとの勇気だ。

「葵…。俺も君の事が好きだ。君からいろんな事を教えてもらったよ。ありがとう。」
俺は、やっと彼女に自分の想いを伝える事ができた。



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