午前10時
聖家の屋敷に到着した。昨日見た通り馬鹿でかい。つかこれ部屋全部使ってんのか?
聖家の屋敷に到着した。昨日見た通り馬鹿でかい。部屋全部使ってんのか。
屋敷に入るなり、メイドさんに使用人部屋へと案内された。
ここで規定の服装に着替えろとのこと。
15畳はありそうな無駄に広い部屋だ。
さっきまで住んでいた我が家とは比べ物にならないな。
とは言ってもベッドとクローゼットしかない本当に無駄に広いだけの部屋である。テレビくらいは欲しいもんだ。
俺は使用人服に腕を通した。
堅苦しいスーツのような服だ。
こんなもんを着る日がくるなんて夢にも思わなかったな・・・。着てみたいとも思わなかったし。
着替え終わって部屋から出る。
「案外似合ってるじゃない」
ドアを開けると、ボンボン雇い主こと聖ミネお嬢様が待ち伏せていた。
「誉めてるのか?それは」
「誉めてるのよ。つかあんた敬語使いなさい。一応私が雇い主なんだから、それができなきゃあんた犬以下よ」
口調うんぬんで犬まで格下げかよ。
しかもこの小娘に敬語を使うのか・・・。
まあ雇い主な訳だし当然なんだろうけど。
「金が貰えるなら犬でもいいけどな」
「へぇ、じゃあ、はいお手」
手を差し出してくるクソアマ。
「これでよろしいでしょうか?」
しかし、この状況では逆らえないので、素直に、ミネの手の上へ自分の手を重ねる。
本当にするとは思わなかったらしく、少し面を食らうミネ。
「冗談よ。まあ私も堅苦しいの嫌いだし、好きに話しなさい」
「お前のことはなんて呼べばいい?」
自分の立場をわきまえていない口調で問う。
「ミネか聖でいいよ。さんとかつけられるとうざったいから」
本当に堅苦しいのがお嫌いらしい。
屋敷住まいの令嬢にしては珍しいな・・・こういう家は立ち振る舞いには厳しいと思っていたんだが。
まあそんなイメージだけの知識じゃ計り知れるはずないか。
「じゃあ聖、早速だけど俺は何をすればいいんだ?」
使用人といってもまだ何をするか詳しく聞いていない。
「とりあえずあたしの部屋に案内するね。話はそれからよ」