遺族達は思う存分復讐を欲しいままにした。
一条フサエは左右の腕を失い―\r
シャアアアアア
ギィィィィィ バリバリバリバリ
更に右脚が―\r
チュゥゥゥゥゥン
ガリッ ガリガリガリガリガリ
最後に左脚が、チェーンソーによって失われた。
一条フサエは血の池に浮かびながら、ただ上半身だけをうごめかす無惨なイモムシになってしまった。
だが―\r
『へへっ、良い気味だぜえ』
『ざまーみろ』
『だが、まだ生きているな』
『全く、ゴキブリみたいにしぶといよ、こいつは!』
遺族達の恨み辛み憎しみは、これだけやってもまだ収まらなかった。
『あ…あぁ…』
目の前で繰り広げられた残虐なリンチをただ見る事しか出来ない九重モエは、階段口下でへたり込み、涙とうめき声を流して、己の非力さを責めた。
そこへ―\r
着信が入り、泣きながら彼女は携帯を開いた―\r
【九重会長―君の負けだ】
『今すぐ彼女を病院に搬送して下さい、梅城会長―』
モエは白学ラン組の向こうからかけてきたケンヤに哀願した。
【ムリだ。もう俺にも止めれない―彼らは一条フサエに子供を奪われた親達だよ。邪魔すれば俺も殺される。彼らの悲しみは俺よりも深い―俺は自分の子供が奪われた経験まではしてないからな】
そして―\r
【君の部下を引き取りたまえ、大した怪我はしてない】
こらえ切れず泣きじゃくる九重モエにそう告げ、梅城ケンヤは電話を切った―\r
一条フサエの最後は、哀れな物だった。
既に大量出血で朦朧としながらも、彼女はまだ生きていたし、意識も残っていた。
『痛い…痛いよお…パパ…ママ…助けて…助けて』
力なく、それでも彼女は救いを求めていた。
だが―\r
『なーにがパパだ!!てめえのパパはな、もう留置場だろうが!!!』
『本当、蛙の子は蛙!権力亡者の娘はやっぱり権力亡者だったわね!!』
『まずてめえが地獄に堕ちろ!!すぐにてめえの親共も送ってやるからよ!!!』
『イジメはやっぱり先天的な遺伝なんだよ!だから汚れた血筋は始末しないとな!!こんな野蛮で狂暴な種族はきちんと浄化して、余計な犠牲は食い止めないと』
遺族達は、イジメグループ以上に残酷になっていた。